こんにちは、akoです。
光文社古典新訳文庫の『人生の短さについて 他2篇』から、今回は他2篇『母ヘルウィアへのなぐさめ 』『心の安定について』についての感想です。
『人生の短さについて』についての感想はコチラ↓
今の状況を、視点を変え、再定義してみる。
まず、『母ヘルウィアへのなぐさめ』について。
この手紙は、追放されたセネカが、母ヘルウィアを心配させないために書いたものです。
心配しなくていい理由が色々書かれていて、ためになるのですが、一番印象に残ったのはこの捉え方です。
追放とは住む場所が変わることにすぎず、徳があれば耐えることができる
セネカは、「追放」という状況を視点を変えることによって、「住む場所が変わった」という状況に転換しました。
これは、私たちにも役に立つ考え方ではないでしょうか。
ある状況を、もっと高いところから眺めてみれば、別の見方ができるかもしれない。
「左遷」ではなく、地方勤務になったとか、仕事内容が変わるとか。
「パートナーが去っていった」ではなく、自由になったとか、一人暮らしを始めたとか。
古い価値観の言葉に縛られると、自分をより苦しめることになりそうです。
言葉のもつ影響力は結構大きいですね・・・
逆に、よくない例で思いつくのは、
「万引き」は実際は「犯罪」「窃盗」だし、
「いじめ」は「暴行」だったりしますよね。
こういう行為に、なぜこのような軽めの表現への言い換えがなされているのかわかりませんが、ストレートに表現したほうがいいように思います。
話がそれてしまいましたが、『母ヘルウィアへのなぐさめ』で一番学んだのは、「視点を変える」ことでした。
閑暇のなかに避難する
次に、『心の安定について』です。
ここに書かれていることは、簡単そうに見えて、とても難しいことなのでは?と思ってしまいました。
これができたら「賢者」といえるかもしれません。^^;
セネカは、自分自身に立ち返る時間が大事と何度もいっています。
『人生の短さについて』は、仕事を辞めて閑暇な生活をすすめる手紙でした。
仕事を辞めるわけにはいかない多くの人たちにとって、実践できそうな言葉としては、
自分のしごとに打ち込み、状況に応じて、閑暇のなかに避難せよ
多忙さに振り回されるようでは、だめなのですね。
仕事においてわれわれが吟味しておくべき三つのこと。(中略)第一に、自分自身を吟味するべきである。第二に、自分の仕事の内容を吟味するべきである。そして第三に、その仕事を誰のために、また、誰と一緒にするかを吟味するべきである。
この中で一番重要なのは、自分自身を正しく評価することなのだそうです。
なぜかというと、人は、自分の能力を過大評価しがちだから^^;
無理なこと、適さないことに取り組むと、失敗したり、病気になったりしてしまうといっています。
そして、普段どのように生きればよいかについて、たくさんの言葉がありました。
とてもたくさんあるので、抜粋すると、
虚飾から身を遠ざけよう。
ものごとの価値を、見た目ではなく、内実で評価する習慣をつけよう。
贅沢を控えるすべを学ぼう。
虚栄心を抑えるすべを学ぼう。
怒りを静めるすべを学ぼう。
幸運の中にではなく、自分の中に富を探し求めるすべを学ぼう。
外的なことに幸せを求めていては、いつまでたっても心の安定はつかめないということでしょうか・・・
セネカさんは、書くことが好きなようで、言葉がたくさんあります。
何度も読んでしっかり吸収したいと思える本です。