こんにちは、akoです。
今回は、『ブッダ伝 生涯と思想』(中村 元著)を読みました。
ブッダについての書籍ですが、個人的には仏教のことは何も勉強したことがありません。
最近になってようやく、宗教(キリスト教、イスラム教、ヴェーダ)に関する本を読んだくらいです。
ブッダは仏教でどういう役割を果した人なのかさえ、恥ずかしながら知りませんでした。
ですが、この本で、ブッダの生涯、当時のインドの情勢、ブッダの思想を知ることができました。
有り難かったのは、経典からの引用が中心となっていたことです。
引用少な目で解説が中心の本の場合、どうしてもその方の考えが中心になってくると思っているのですが、この本は、あくまで経典に忠実に、解説をつけ加えているという形式です。
この本を読めば、原始仏教がどういうものであったか(私は原始どころか現代の仏教もわかっていませんが・・・)、とてもよくわかると思います。
感想をいくつか書いてみようと思います。
原始仏教はとても実践的!?
まず驚いたのは、原始仏教がとても実践的であったということです。
「いかに生きるか」が、テーマになっています。
みずからを灯明とし、みずからをたよりとして、他をたよりとせず、法を灯明とし、法をよりどころとして、他のものをよりどころとするな。
無知ながらも最近ストア哲学の本を読んでいるのですが、ストア哲学と似てる!と思いました。
もちろん素人の感想なので、間違っているかもしれないのですが、
死を恐れていては心の平安は得られないところとか、
自分のなすべきことをなすことを勧めている点も同じように思えました。
まったく他力本願ではないのです。
これまで仏教というのは、拝んで拝んで極楽浄土へ行くというものかと、勝手に思っていたのですが、原始仏教は違うのですね。
愛する人を失った人がいたとして、その心を癒すものは外にあるのではなくて、自分。
とても厳しいけど、自然なことのような気がします。
慈悲の心
ブッダは心優しい人だったのだろうと思った点が2つありました。
もともと、インドのそれまでの風習では、生き物(牛や羊など)を生贄として火の中へ捧げ、その祭事をとりおこなうバラモンたちは利益を得たりしていたようです。
現代でも、生贄ではなくても同じようなことをしているので、私たちがどうこういえませんが、ブッダは教えの中で、殺生を否定しています。
いきとしいけるものを慈しむ、です。
また、ある人から食事として提供されたきのこで、ブッダは食中毒となり亡くなるのですが、苦しんでいる中、その人を心配している場面もありました。
その人が、自分のせいでブッダが亡くなった、と責めることがないよう、弟子に言づけをするんです。
自分がもがき苦しんでいる時に、その原因となった相手を気遣うことができる人だったようです。
そもそも、ブッダが説法して説いてまわり始めたのも、他人のことを考えてのことでした。
利他の精神がすごいですね。
まとめ
ブッダという人(はっきり「人間」といっていいところが、個人的にいい印象です。神?人間?と迷わなくていい。)を知るのに
とてもいい本だと思います。
文庫本ですが、物足りなさは全然感じません。
仏教初心者ですが、とても勉強になりました。おすすめです。